老子との対話45
「ブログと違いますね」
ブログの読者でもあり、知人でもある、ある人にそう言われた。
僕が「常に顧客を信じる」と答えた時のことだ。
どうやら僕がブログで「自分の好きなことをやれ」「自分の強みにこだわれ」と話しているので、「顧客よりも自分を優先する」と思っていたらしい。
顧客など無視して、自分の強みを優先するという風にだ。彼はこう言った。
「もっと自信があると思っていました」
どうやら、顧客に迎合するような、そんな弱気な姿勢に見えたのだろう。
ショックだった。
弱気に見られたことがではない。誤解されていたからだ。
「ブログを毎日のように見てます」と言っていた方にそのように言われたので、僕の言いたかったことは伝わっていなかったんだ。そう思った。
僕は嘘つけないタチなので、「それはショックが大きいです」
そう言った。
「強み」にこだわるのは非常に重要だ。
でも、それは顧客を無視して自分のやりたい放題やるという意味ではない。顧客ニーズの範疇で「強み」にこだわるのだ。
あなたのビジネスにも強みはいくつかある。
多面的に正確に分析をすれば、強力な強みがいくつか手に入る。
ただ、その段階ではそれらの強みはあくまでも顧客を無視した強みだ。
顧客にとって必要なものかどうかは別だ。
何度も言うが、顧客は売上の源泉だ。
顧客に不要な強みではビジネスにならない。
仮にそれを無理に販売しても、継続的なビジネスにはつながらない。
購入した後、「こんなの売りつけられた」と顧客は思い、結局あなたから離れていく。
つまり、強みの中にも、顧客に必要なものと必要でないものがある。
それは何か?
ここは無心になって分析する必要がある。
自分を捨て、顕在的な面、潜在的な面で顧客が欲しているもの、欲していないものを探るのだ。
あなたのビジネスの最大の「強み」を顧客の最高の「利益」にする。この形を創る。
でも、このシンプルなことが意外なほどできていない。
「強み」でないものを顧客の「利益」にしようとしたりしているのだ。
分析
顧客のことを見る時は自分の強みさえも忘れなければならない。
自分よがりに無理に結びつけるのではなく、顧客が何を欲しているのかを冷静に公平に見つめる。
自分の企業、自分のビジネス、自分の考えさえ、捨ててだ。
そして、顧客の心、顧客の考えを自分の考えとしていく。
ある意味では、この段階では自分を信じないで、顧客を信じるのだ。
すると、顧客の欲しているものが見えてくる。
そうして、はじめて自分のビジネスに有利なもの、不利なものが見えてくる。
そこから、自分の強みと顧客の利益を考えていく。
これが僕が重要だと考えていることだ。
顧客に迎合しているのとは違う。
自分の強みと顧客の利益を結びつけるのだ。
これはダイレクト・マーケティングで成果を出せるようになってからずっと一貫して考えていることだ。
老子は語っている。
「『道』と一体になった聖人はいつでも自分の心というものをもたず、人民の心を自分の心としている。そこで、聖人はいう、『人民のなかの善いものをわたしは善いとして待遇するが、善くないものでもわたしはまた善いとして待遇し、そうして善い人びとを集めている。』(中略)
聖人が世界に対するときは、その身をひかえて無心にふるまい、世界を治めるときは、知恵分別をさけてぼんやりとしたありさまでいる」
参考:老子道徳経 下篇
僕らは老子の言う聖人とは言えないだろう。
でも、これは非常に重要だ。
自分の強みにこだわるのは良い。
でも、その強みに酔ってはいけない。
自分の強みから顧客を見ると、無理に顧客ニーズを創りあげ、自分の都合の良いものを探してしまう。
ところが結果は甘くない。
それでは売れないのだ。
本当の顧客ニーズを探る段階は、自分を捨て去ることだ。
ぼんやりとしたありさまと老子は言っているのが、まさにそれだ。
自分の心というものをもたず、顧客の心を自分の心とするのだ。


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