精一杯やってやる

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数年前、私が繰り返し読んでいた文章。

この文章、ご存じの方もいるかもしれない。
44歳のある日、突然、2つの両腕を事故で失った大野勝彦さんの手紙詩画集「やっぱいっしょがええな」のもの。

私がこの方と同じ気持ちになることはできない。
ただ、それでも、この文章を繰り返し読み、「精一杯やってやる」
そう感じながら、仕事をしていたのを覚えている。

最初の言葉が大野勝彦さんの言葉。(カッコ内の太字)
その次に続くのが大野さんへの手紙の抜粋だったと思う。

その文章を今回はご紹介したい。


「ある日突然、二つの両腕を事故で失いました。
 失意のベッドの上で教えられたのは人のやさしさ、
 家族の温かさでした。
 そこから私の本当の人生が始まったような気がします」

・・・

それでも生きるんじゃ
それだから生きるんじゃ

何だ偉そうに

「格好悪い。ああ人生はおしまいだ」
なんて、一人前の口を叩くな

あのな、お前が手を切って
悲劇の主人公みたいな顔して

ベッドで、うなっていた時なー
家族みんな、誰も一言も
声が出なかったんだぞ

ご飯な、食卓に並べるのは並べるけど、
箸をつける者はだぁれもいなかったんだぞ

これまで一度も、神様に手なんか
合わせたことがない三人の子どもらナ
毎晩、じいさんと一緒に、正座して
神棚に手を合わせたんだぞ

バカが

そんな気持ちも分からんと
「なんも生きる夢がのうなった」
「他の人がバカにする」
そんなこと言うとるんだったら

早よ、死ね

こちらがおことわりじゃ
お前のそんな顔見とうもナイワイ
どっか行って、メソメソと
遺書でも書いて、早よ、死ね

なー体が欠けたんじゃ
それでも生きるんじゃ
それだから生きるんじゃ

考えてみい、お前の両親いくつと思う

腰曲がって、少々ボケて、もう年なんじゃ
一度くらい、こやつが、私の子どもで良かった
「ハイハイ、これは私達の自慢作です」って

人前でいばらしてやらんかい
もう時間がなかぞ

両手切って、手は宝物だった
持っているうちに、気づけば良かった

それに気づかんと、おしいことをした
それが分かったんだったら

腰の曲がった、親の後ろ姿よー見てみい
親孝行せにゃーと、お前が本気で思ったら
それは、両手を切ったお陰じゃないか・・・・

今度の事故はな
あの老いた二人には、こたえとるわい
親父な、無口な親父な
七キロもやせたんだぞ

「ありがとう」の一言も言うてみい
涙流して喜ぶぞ、それが出来て
初めて人ってもんだ

子ども達に、お前はこれまで何してやった
作りっぱなし、自分の気持ちでドナリッパナシ
思うようにならんと
子育てに失敗した、子育てに失敗した
あたり前じゃ
お前は、子育ての前に
自分づくりに失敗しているじゃなかか
あの三人は、いじらしいじゃないか
病室に入って来る時ニコニコしとったろが

お前は「子達は俺の痛みも分かっとらん」
と俺にグチ、こぼしとった
本当はな、病室の前で、涙を拭いて

「お父さんの前では楽しか話ばっかりするとよ」と、確認して
三人で頭でうなずき合ってからドアを開けたんだぞ

学校へ行ってなー
「俺のお父さんは手を切ってもすごいんだぞ。
何でも出来て、人前だって平気なんだぞ」

仲間に自慢しているっていうぞ
その姿思ってみい
先に逝った手が泣いて喜ぶぞ

しゃんとせにゃ
よし、俺が見届けてやろう
お前が死ぬ時な

「よーやった。お父さんすばらしかった。お父さんの子どもで良かった」
子どもが一人でも口走ったら俺の負けじゃ

分かったか
どうせまた、言い訳ばかりしてブツブツ言うんだろうが

かかってこんかい!

歯をくいしばって、度胸を決めて
ぶっつかってこんかい
死んだつもりでやらんかい

もう一遍言うぞ
大切な人の喜ぶことをするのが人生ぞ
大切な人の喜ぶことをするのが人生ぞ

それだから、生きるんじゃ!

※引用:大野勝彦さんプロフィール

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