※本シリーズについては、しばらく時間があいてしまったため、第1回目から第9回目を再度1回1回お伝えしている。
最近読み始めた方にもご安心いただけると思う。
(10回目をすぐに読みたかった方にはご迷惑をおかけするのだが。。)
消費者の感情 4
前回は日銀の「生活意識に関するアンケート調査(第49回)」
その「現在の収入を1年前と比べると、どうか?」という質問に対する回答について、お話しさせていただいた。
今回は「1年後の収入を現在と比べるとどうなるのか?」という質問に対する回答だ。
これについて、見て行きたい。
上が2012年3月の結果、下が2011年12月の結果だ。
2012年3月の調査結果
増える 5.9%
変わらない 47.9%
減る 45.8%
2011年12月の調査結果
増える 5.0%
変わらない 49.2%
減る 45.4%
これも前回同様、日銀の情報サービス局の調査結果では改善していくようにコメントがついている。
次のとおりだ。
「先行き(1年後)は、『増える』との回答が増加し、「変わらない」との回答が減少した」と改善すると受け取られるように述べている。
確かにそのとおり。だが、これも「大数の法則」から言えば、大きな傾向を示すものではない。
「増える」は0.9%増えたのみだし、「変わらない」は1.3%の減少だ。
さらに言えば、これも些細な傾向だが、「減る」は0.4%増えているのだ。
でも、これらは大した傾向ではない。
まず、押さえていただきたいのは、
「感情」
前回の質問は「現在の収入を1年前と比べると、どうか?」というもの。
これは「現在」と「1年前」の収入とを比べ、増えたか、減ったかを答えるものだ。
その意味で「事実」だ。
(もちろん、正確に答える方ばかりではないだろうが、少なくとも「事実」に近いと言える。)
だが、今回の質問は違う。
「1年後の収入は現在と比べるとどうなるのか?」というもの。
「1年後の収入」だ。
まだ起きていない未来のことを人々が頭の中でどのように考えているのかを尋ねているもの。
これは「感情」だ。
ここで質問だ。
あなたは収入が減ったら、どうしようと思うだろうか?
収入が減ったのだ。
普通に考えれば、取り戻すために「増やそう」と思うだろう。
少なくとも「減らさない」ようにしようと思うはずだ。
つまり、「変わらない」ようにしようと思うはずだ。
その意味では「増える」と答えるか、「変わらない」と答えるはずだ。
でも、結果は違ったのだ。
もう一度、調査結果を見てみよう。
2012年3月の調査結果
増える 5.9%
変わらない 47.9%
減る 45.8%
2011年12月の調査結果
増える 5.0%
変わらない 49.2%
減る 45.4%
2012年3月も2011年12月もいずれの場合でも、半数近くは「1年後は減る」と思っているのだ。
「増える」と思っているのは5%程度だ。
まだ、起きてもいない未来なののにだ。
前回、お話ししたように
現在、既に半数近くの方の実際の収入は1年前の収入と比べ、減っている。
増えたのは7%弱しかいない。
なのに、半数近くの方は「1年後は減る」とまだ来てもいない未来をそう思ってしまっている。
逆に「増える」と答えたのは6%弱しかいない。
しかも、「増える」に対し、「減る」と思っているのは8倍くらい存在する。
そう、考えているのが今の日本なのだ。
さらに考えていただきたいのは、
「現在の収入が1年前と比べ減った」と答えた人々と
「1年後を現在の収入と比べると減る」と答えた人々は共に半数くらいだということ。
これが全く同じ人々ということはありえない。
「収入が減った」方の中には起業したばかりの方や独立したばかりの方、転職したばかりの方もいるだろう。
いずれにせよ。
取り戻そうという方(「増える」と考える人)は少なからず存在するだろうし、「変わらない」ようにする方もいる。
その意味で「現在の収入は1年前と比べて変わらない」と答えた人の中にも1年後は「減る」と考えている方がいる。
実際に収入が減り、1年後も収入が減ると考えている方は2年続けて収入が減ることにもなる。
こちらも深刻だ。
いずれにせよ。
一部の楽観的な思考。
ある意味で少数派の人々を除き、人々の感情は「収入」が減るという風に考えている。
消費者の多くの「感情」はそこに向かっているのだ。
そのような人々が我々の多くが相手にしている顧客だ。
(何度も言うが、富裕層ビジネスなど、一部のビジネスは例外だ)
次回、さらなる問題をお話しして行きたい。


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