スペインの旅「質と美」8

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スペインの旅「質と美」8

飾り立てないのが、イスラム本来の考え方
ムハンマドの教え。
(もちろん、その後、装飾性があるものもでてくるが、それは本来のものとは言えない。)

そのように前回お話しした。

このアルハンブラ宮殿はまさにそれを具現化したものであった。
ガイドの彼が言うとおりだった。

「キリスト圏の建物は外側を素晴らしいが、中身は今イチ、
でも、イスラム圏の建物は外側は簡素だが、中身は素晴らしい」

キリスト圏の建物

実際に外側と内側を比較してみよう。
キリスト圏の建物であるカルロス5世の宮殿の外観は次のとおりだった。

<カルロス5世の宮殿の外観>
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これまで、その内側をお見せしていなかったが、内側をお見せしよう。
まさに「外側は素晴らしいが、中身は今イチ」というものだ。

<カルロス5世の宮殿の内側>
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アルハンブラ宮殿は逆だ

これまでご紹介した写真と違うが、分かるだろうか?
右側の無骨な外観。
それがアルハンブラ宮殿だ。

<アルハンブラ宮殿の外側>
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でも、これが中に入ると、違う。

<アルハンブラ宮殿の内側:アラヤネスのパティオ>
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<アルハンブラ宮殿の内側:ある天井>
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<アルハンブラ宮殿の内側:宮殿内で最も美しいと言われる二姉妹の天井>
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以前、このブログで「美」について、話したことがある。
美は人の感覚に影響を与えるものだと説明した。
製品の美ということであれば、それは製品の外部が表現する「美」であり、その「美」が人の視覚など感覚に影響を与える。

つまり、美は外部が表現するものだとも言える。

もちろん、その外部と内部、その両方を美しくするのが理想だ。
スティーブ・ジョブズの「見えない部分にまでこだわる」というのはまさにそれだ。

でも、それは例外だ。
世の中にある多くの製品は、内側どころか、外側でさえ、美を生み出すことはできない。

外側にあるものが「美」だとしたら、製品の内部にあるのは「質」

さて、あなたはどちらを選ぶだろうか?
「美」と「質」のどちらかを選択するとしたら、そのどちらを選ぶだろうか?
両方を手に入れることができないとしたら、どうだろうか?

「外見」か「中身」のどちらを選択するのか?

外見を魅力的にする方が良いか?
中身を魅力的にする方が良いか?

アルハンブラ宮殿は内側の美。
製品の「質」とは違うが、内側を重視している。

重視しているどころではない。
アルハンブラ宮殿の外側には「美」はなかった。

これは実際にネット上にある口コミなどを読んでいただけば分かる。
「外側は意外に寂しい」と言う方も多い。
イスラム本来の考え方が分からずに見ていたら、私もそう思うかもしれない。

我々の社会とは真逆だ。

ここは反論があるかもしれない。
でも、私は次のように考えている。

お洒落をするのも、究極的に言えば、他人がいるからだ。
これも「俺は他人を気にして、おしゃれをしているわけではない」と答える方もいると思う。

でも、あなたが無人島にいるとしよう。
周りには誰もいない。

最初の頃は無人島でもおしゃれをする人はいると思う。
誰も見ていないのに、おしゃれな服を着て、おしゃれなパンツをはいているかもしれない。
でも、それも10年も続けば、誰にも見てもらえないおしゃれはしなくなり、生き残るためのことを考えるようになるだろう。

生活は日々を生き抜くためのものとなる。
他に誰もいなければ、外に対する「美」は必要なくなり、生き抜くための本当の「力」に対する欲求が高まるはずだ。
着ているものは動物の皮や、葉っぱなどを使ったものかもしれない。
それよりは斧や槍などを作っているかもしれない。
つまり、「外見」よりも「中身」だ。

外にいる人の存在が「美」を生む。
いや、美だけではなく、様々なものを生み出している。
人にどう見られるかを意識し、逆に人から評価されると喜ぶ。
外への意識が非常に大きいのが、我々の住む世界だ。

私自身もそうかもしれない。

人から評価されれば、嬉しいし、人に評価されなければ落ち込む。
年々、その気持ちは少しずつなくなってきたが、その意識が全くなくなりはしない。
でも、一方では、外見よりも中身を磨きたいと思っていた。
美よりも質を磨きたいとも思っていた。
そして、外から見えるものではなく、本当の中身、真実を重視したいと考えていた。

でも、これが非常に難しい。

よく人には話すが、プロ野球選手が野球のことを話すのと、中学生の野球少年が野球のことを話すのでは、たとえ、真実が中学生の野球少年が話すことであったとしても、それが正しいとは私も含め、多くの人は思えないのだ

その言葉の中身を見るのではなく、プロ野球選手という外から見える立場で、その言葉を判断する。
「中身が重要」と言っている人でさえ、実は中身を見ていない。

「そうならないようにしよう」

それが私が常に意識していることだった。
外から見えるものにだまされないで、その内部を見抜く。
また、外に対して、良い姿を見せずにその内面を磨くようにする。
そう考えていたのだ。

だからこそ、このアルハンブラ宮殿は衝撃だった。

いや、宮殿だけではない。
外側の形を重視しない、イスラムの考え方自体が衝撃だったのだ。
今のイスラムがどうであるのかはともかく、アルハンブラ宮殿が外部ではなく、内部に美があるのは確かだ。
それはある種、私の理想の1つでもある。

でも、理想を見たことで、我々の社会が外から見えるものにどれだけ影響を受けていたのかを強く感じた。
我々はアルハンブラ宮殿と正反対の世界に住んでいる。
特にビジネスでは、内面が美しくとも、外から見える、顧客が判断できるものが美しくなければ、その成功確率は低くなる。

宮殿を見て、最も強く感じたのは、その外から見えるものに強く縛られた我々の世界だった。
それは理想の世界ではあるが、我々のルールとは大きく違う。
良い悪いではない。
でも、そこで生きるのであれば、外から見えるものを重視していく必要がある。

我々の世界を教えてくれたのもアルハンブラ宮殿だった。

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