スペインの旅「質と美」7
前回、お話ししたとおり、アルハンブラ宮殿に入る前の私は勘違いをしていた。
ある意味ではアルハンブラ宮殿とは言えない、
グラナダが陥落した後のカトリックのある立派な建物「カルロス5世の宮殿」を素晴らしいものだと思っていた。
素晴らしいと思っていた理由は簡単だ。
外から見える「美」だった。
外観のみで判断していた。
もう一度その外観を見ていただきたい。
アルハンブラ宮殿は美しくなかった
でも、本来のアルハンブラ宮殿は美しくなかった。
少なくとも、外から見える「美」は感じなかったのだ。
写真の景色の左の方にある外壁でできた建造物。
それがその一部だ。
外から見ると、「まさか世界遺産だとは思わない」と思う方もいると思う。
写真だと分かりづらいが、実物を見ると、大きくその外観は違う。
その意味では、同じ世界遺産でもガウディのサグラダ・ファミリアなどとは違う。
あれは私の理解を超えた建築物だが、外観からその凄さはすぐに伝わってくる。
でも、アルハンブラ宮殿はその凄さは外観から伝わってくることはなかった。
アルハンブラ宮殿に入る
ついにアルハンブラ宮殿に入る。
これは本当に不思議な感覚だった。
川端康成
そう「雪国」だった。
川端康成の「雪国」にある「国境の長いトンネルを抜けると雪国」という言葉が頭によぎる。
長いトンネルから雪国の景色になる。
それと同じ印象を受けた。
外は素朴で朴訥な景色が
美しい景色に変わる。
それがアルハンブラ宮殿だった。
アルハンブラ宮殿から感じるもの
アルハンブラ宮殿に対する感動をどのように説明すれば良いか?
それは自分でも消化できていない。
でも、一つだけ言えば、それから感じるものは建物そのものでもなく、その建物の美しさでもなかった。
それ以上にイスラムの人の考え方や生き方のようなものが強烈に伝わってきた。
「アルハンブラ宮殿は写真ではその魅力が分からない」とお話しした理由がここにある。
サグラダ・ファミリアや、有名なフランスのモン・サン=ミシェルなどは違うのだ。
外から見ただけで、その魅力を感じ、その地に行きたくなってしまうようなものではない。
外面は素朴で朴訥
その素朴で朴訥な外見から、一気に内面の美しさが現れる。
そのギャップは写真からでは味わうことはできない。
点ではなく、その流れを体感しなければ感じることができない。
逆に
キリスト教の建物とも言える
カルロス5世の宮殿は違う。
それは「外は素晴らしいが、中は寂しいものだった」
外からどのように見えるのか?
外見や体面や他人の評価を意識する、我々の社会を表しているようだった。
ジャケットをスマートに着こなす50代くらいの日本人男性
彼はイスラム圏で人生の大半を過ごしてきた。
彼は拙い日本語でそれを強調していた。
「キリスト圏の建物は外側を素晴らしいが、中身は今イチ、
でも、イスラム圏の建物は外側は簡素だが、中身は素晴らしい」
もちろん、彼はイスラムに贔屓しているところがある。
話は少し極端になりがちだ。
でも、建物を冷静に見ていると、確かにそのように感じる。
後日、イスラム圏の情報などを調べてみると
確かに外側の形を重視しないのが、イスラム本来の考え方
飾りたてないのが、ムハンマドの教え。
(その後、装飾性があるものもあるようになってくるが、それは本来のものとは言えない。)
このアルハンブラ宮殿はまさにそれだった。





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